2018年11月13日

ITの進展と教育環境の変化(その2)

前回の記事に引き続きITの進展に伴う教育環境の変化です。今回のサービス提供者は通信教育会社です。

通信教育会社の場合も(塾や予備校と同様に)既存の紙媒体のサービスとの間でCarnibalaizationを起こすという構造は同じです。しかし、「学習媒体の選択肢拡大」という意味もあり、中学受験塾とは異なる戦略対応を行っているような気がします。すなわちITを積極的に受け入れているように思います。


【ベネッセ】
まず最大手のベネッセの進研ゼミ小学講座。基本的に学習指導要領に準拠したコースになっているようです。
従来型の紙べ―スの通信教材(チャレンジ)と専用端末を使ったデジタル学習(チャレンジタッチ)の2つのコースがあり、どちらかを選択することができます。また、月々の料金は同額に設定されているようです。

老舗かつ最大手ですが、コース設定や料金設定が非常にシンプルです。入口段階での「分かりやすさ」を強調することで、利用者も安心して契約できることから、幅広い層を取り込むことができると感じました。


[Z会]
通信と言えばZ会も有名所です。元々、難関国立大学受験を視野に入れた高校生向けの通信添削からスタートした会社なので、受験指導という点では定評があります。

その結果、小学生向けの通信教育コース体系もやや細かく設定されています。

まず、小1・小2は従来型の紙ベースの教材のみの提供です(スタンダードとハイクラスに分かれていますが料金は同一です)。

タブレットを用いたコースは小3から始まります。小3からは、従来の紙ベースのコースとタブレットを使用するコースが選択できるようになっています。

小3以降のコースは、
 @ 小学生コース
 A 小学生タブレットコース
 B 中学受験コース
の3つがあります。

このうち@とAは中学受験を前提としない通常コース、Bは中学受験を意識したコースで、タブレットの使用が前提となっています。
コース料金については、B>A>@の順に設定されているようです。

ベネッセよりもコースが細かく設定されているので、「より目的意識を強く持った」家庭をターゲットにしているように思います。

また、Z会のタブレットコースで特徴的なのは、専用端末ではなく汎用端末であるiPad(及び対応するタッチペン)を使った学習になるという点です。この点は後述します。


[スマイルゼミ(ジャストシステム)]

(ベネッセやZ会と違い)もともと通信教育の会社だったわけではなく、「一太郎」という日本語ワープロソフトなどで有名な会社です。ワープロと言えば今ではMicrosoft社のWordが圧倒的なシェアですが、かつて日本語ワープロと言えば「一太郎」が圧倒的なシェアを持っていました。

その後、Microsoft社の戦略の影響でシェアを落としてしまいましたが、ちょうど同じ頃、小学生用日本語ワープロの「一太郎スマイル(現在のジャストスマイル)」を発売したのが始まりのようです。学校でコンピュータ教育が本格化することを視野に、年齢層の低い市場に注目したと思われます。今考えると会社の命運を決める大きな判断だったのではないかと思います。

この「一太郎スマイル」に様々な機能を追加していき、(恐らく現場の小学校の先生方の意見なども取り入れて)ユーザビリティを高めた結果、現行のジャストスマイル8という学習・授業支援ソフトは公立小学校の85%に採用されているとのことです。

そして、恐らくこの商品で培った知見に基づき、個人向け通信教育教材であるスマイルゼミのサービス提供を2012年12月から開始しました。

まだスタートして数年ですが、短期間でかなりシェアを伸ばしているようです。
短期間でシェアを伸ばしているのは、もちろんコンテンツの良さもあるのでしょうが、先述の学校向けソフトの開発ノウハウの経験からユーザビリティが非常に高いのではないかと推測されます(実際使ったことがないので推測です)。

スマイルゼミは、専用タブレット端末を使用するという点ではベネッセと同様の戦略をとっています。しかし、最初からタブレットを前提に開発を行っているという点で、(紙ベースからスタートした)通信教育老舗のベネッセやZ会とは一線を画します。


【専用端末か、汎用端末か】
通信教育の会社が専用端末を用いるか、汎用端末を用いるかの経営判断はなかなか興味深いものがあります。専用端末であれば、ソフトと端末がセットで開発できる点では「開発はし易い」半面、端末のコスト負担の問題が生じます。

一方、汎用端末であれば端末のコスト負担はユーザに転嫁できるためコスト負担問題はスッキリしますが、一方でソフトと端末の一体開発ができないので、動作保証等で難しい問題があるように思います。

以下は専用端末のコスト負担に絞って考えてみます。
まず、専用端末の当初コスト負担は、サービス提供者である通信教育会社となります。そして通信教育サービス開始後に、月々の利用料金に上乗せしてユーザーに請求することになると考えられます。しかし、想定回収期間に満たない期間での解約(=短期解約)のリスクにどう対応するかという問題があります。

詳細は各社のHPをご覧いただくとして、基本的に、サービス提供者が想定する期間に満たない期間内の解約の場合、端末代金(の一部)はユーザーの負担になるということだと思います。このあたりは紙ベースの通信教材や汎用端末を使ったケースのように、サービス提供者側の初期コスト負担がないケースとは大きく違うところだと思います。


次回に続きます。






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2018年11月11日

ITの進展と教育環境の変化(その1)

✔   塾や予備校での教室における集団授業
✔ 紙媒体を使った通信教育や自宅学習
「個別指導」や「家庭教師」という教育サービスはあったにせよ、20年位前までは上記のような方法が主流であったと思います。

しかし、今や集団授業は各種資格試験、大学受験講座レベルでは加速度的に縮小し、映像による授業配信が当たり前の時代になってきました。海外の高等教育においてもCourseraEdxといったMOOC(Massive Online Open Course)が普及してきました。

MOOCで思い出すのは、草分け的な存在のMIT OpenCourseware(OCW)です。確か2000年ごろにはスタートしていたと思いますが、(MITとは言え)やはり単独の大学によるコンテンツ提供ということもあり、その後数年経っても予想したほどの広がりは見られなかったようです。

しかし、CourseraやEdxのように複数大学が相互乗り入れしてくる時代になって、MOOCは一気に広がりました。時代に流れということもあるでしょうが、コンテンツが集まりやすいプラットフォームが整備されてきたという点も見逃せないと思います。

さらに、学習のPaperless化というか、紙媒体以外による学習サービスも普及してきました。地球環境保護の観点からも、紙の使用は極力抑えることが必要なので、こうした動きは今後益々加速すると思われます。

こうした流れの背景にあるのが、ITやAIの進展ということになるのでしょうが、こうした技術が教育サービスにも変化を及ぼしていると思います。

ということで、今回は教育サービス提供者の類型別に、サービス形態がどのように変わってきているかを考察したいと思います。

今回は中学受験生(とその家庭)で最も身近な存在である中学受験塾です。


【中学受験塾はIT化に消極的?】
伝統的に集団授業を展開している中学受験塾ですが、一部(例えば、四谷大塚)を除くと、教育サービスそのものに関する限りITの活用には積極的ではないようです。四谷大塚にしても、親会社のナガセ(東進ハイスクール)が中学・高校向教育サービスでIT化を進めている流れの中で、共通のResourceを使っているという感じです。したがって、(他塾に対して)多少は先行している感はありますが、決して「先進的」な取り組みを行っているとは言えません。


【IT利用に消極的な理由】
集団授業を基礎とする中学受験塾がIT活用に消極的になる理由は比較的簡単で、既存サービスとの間でCannibalizationを引き起こすと考えられるからです。

例えば、集団塾の授業というのは基本的に「その教室で1回に限り提供される」という性格があります。再生産や在庫ができないので、希少性が高いわけです。経済学的に見ると「希少性=価格」なので、希少性が高ければ高価格になるのが自然の流れです。

しかし、授業の映像配信をすればその「希少性」は一気に失われ、価格低落が待ち受けています。

不特定多数の利用者が同時に何度でも視聴できるというのは、サービス利用者にとっては望ましい状況になります。しかし、既存サービスを提供する供給者側にとっては非常に大きな「脅威」となるわけで、サービス提供者の腰が引けるのも当然でしょう。

ただ、大学受験予備校や資格試験予備校などでは、すでに「教室授業から映像授業へ」という流れは不可逆的であり、また、異業種からの参入もあります。いすれにしても、年齢の低い教育サービスにもこうした(ITの)波が押し寄せていることは想像に難くありません。


【ハイブリッド型が近未来?】
私見ですが、中学受験における通塾モデルは既にピークを過ぎていると思います。

今後は、様々なサービスを組み合わせたハイブリッド型の受験準備という方向にシフトすると思います。ハイブリッド型の活用により、利用者はよりFlexibleで、よりReasonableに中学受験準備を進めることも可能となると思います。一方で、少子化と人手不足により労働集約型の教育サービス(対面型の集団塾/家庭教師/個別指導)を利用した場合の教育コストの高額化は一層進むと思われます。

確かに、高額な料金を支払うことで良いサービスを受けられる可能性はありますが、中学受験準備のために膨大な教育費用をかけるというのも、バランスが悪いように思います。

ITやAIの進展は、廉価(無償)で質の高いサービスを受けられる機会が増大することを意味しており、教育格差を解消する大きなツールになる可能性があります。すなわち、こうしたツールを使いこなすことで、教育コストの低減を図ることが期待できるわけで、IT化は教育サービスの消費者である我々に多大な恩恵をもたらす可能性があると思います。









posted by 父親目線 at 22:12| Comment(0) | 親父の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月09日

方陣算の難問

応用演習問題集(4年下)にあった「方陣算」の難問です。出所は栄東中学の2012年の入試問題のようです。


houjin02.jpg

(1)は三角数の基本問題なので多くの受験生はできたと思います。もっとも、三角数を知らなくても〇が上の段から下の段へ1,2,3,4,・・・と並んでいる法則に気がつけば、50番目は1+2+3+・・・+50=(1+50)×50÷2=1275とすぐに計算できます。

現在の中学受験では”当たり前”のように出題される「等差数列の和」の問題ですが、本来は高校数学の領域です。



(2)と(3)は三角数の和なので厄介です。もっとも、(2)であれば図の意味が分からなくても腕力で7までの三角数を足してしまうことで正解できます。三角数は、1,3,6,10,・・・と続いていますが、隣り合う数の差をとると差が2,3,4,・・・となっていることがわかります。よって、この後は15,21,28と続くことが分かります。1+3+6+・・・+28=84と計算できます。


(3)は力技では計算できません。ヒントの図を頼りに、3種類のタイルの合計枚数が同じになっていることに気づけば、「長方形の面積÷3」で和を求めることができます。実際この図を頼りに正解にたどり着いた受験生がどれほどいたか分かりませんが、小学生にはかなりの難問というか酷な問題だと思いました。

実際、この問題に関しては高校生で習う数列による解法が標準的と思います。具体的には、@の2乗の和の公式を利用して、(1)で求めた三角数の和を求めることになります。

Aを用いると、30番目までの三角数の和は、1/6×30×31×32=4960となります。


@ 2乗の和の公式



A(1)で求めた三角数の和

ちなみに、問題文の図の長方形ですが、横の長さ=n/2×(n+1)で(1)で計算したn番目の三角数になります。一方、縦の長さ=n+2になります。長方形の面積を1/3すれば(縦×横÷3とすれば)、A式が導出されます。










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2018年11月08日

反抗期と親の意識

昨日の記事で挙げた「反抗期」の追記です。

最近、「反抗期かな?」と思わせる兆候(言動など)が現われています。
子供自身もイライラしたり、自分のペースを変えようとしなかったりで、勉強に身が入らない時もあります。

中学受験準備が段々本格化する中、やることもずいぶん増えてきており、(予定通り進まないと)親もイライラする局面も増えてきました。

一方、読書レベルもここ3ケ月ほどで2段階くらい上がった気がします。
何となくイメージしていた「高学年の少年少女が読むような本」のレベルを素通りして、高校生や大人が読むような単行本や文庫本(新潮文庫や講談社文庫など)を好んで読むようになってきました(どこまで深く読み込めているかは分かりませんが)。

結果、やや過激な内容が含まれている本も読んでいます。
とは言え、「読む本を制限する」などということも意味ないですし・・・。今まで通り、「読みたいと思う本は自由に読める環境」だけは整備しておきたいと思います。

小4(10歳)前後という年齢は、子供から大人へと成長する時期であり、抽象的思考力の高まる時期とも言われます。子供の自主性を尊重しつつ、(生活面や学習面など)程よい距離感でフォローしていく必要がありそうです。

親の意識もそろそろ変えなくてはいけない時期に来たようです。








posted by 父親目線 at 23:26| Comment(0) | 親父の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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